未払い賃金の請求

 従業員や退職者から未払い賃金を請求されるのはよくある労務トラブルの一つです。請求された企業としては様々な対応を迫られます。

 会社が賃金の支払いをしていることを立証する責任を果たすため、タイムカードや業務日報、雇用契約書や就業規則等は常日頃から正確に整備しておく必要があります。

 賃金未払いを請求させるのは基本給だけではありません。割増賃金や有給で発生した賃金も対象です。特に割増賃金は、割増率が定めてあるので正確に計算する必要があります。
時間外労働:25%
休日労働:35%
深夜労働:25%
例えば、36協定を結んでいる会社で
月:10時間 火曜:8時間 水曜:8時間 木曜:8時間 金曜:9時間 土曜:8時間
働いた場合、月曜の2時間、金曜の1時間だけでなく土曜の8時間も割増賃金の対象です。
労働時間について詳しくは書きませんが、建設業でよくある従業員が会社に7時に集合し、車で乗り合わせて現場に向かい8時から現場作業した場合の労働時間の起算は、集合時間の7時からです。
このように労働時間や割増賃金は複雑なので、企業は正確にルールを理解しておく必要があります。

【未払い賃金請求が発生した際のリスク】
①付加金、遅延損害金の発生
本来支払われるべき日の翌日から遅延している期間、賃金には遅延損害金が生じ、もし訴訟で敗訴した場合「未払い賃金と同一額の付加金」を上乗せして支払う必要があります。
②他社員からの請求
1人の社員が未払い賃金の請求を行い、会社側が負けた場合連鎖的に他の社員からも請求される可能性があります。
③風評被害
未払い賃金のトラブルによる風評被害。今後の人材採用はもちろん、企業としての評判も落ちます。現代ではネット社会なので企業が思っているより長い期間、続いてしまうことが考えられます。

 このように未払い賃金を請求され、企業側が負けた場合の被害はお金以外の部分にも及んできます。労務トラブルを未然に防ぐためにも顧問社労士に相談しましょう。

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