賃金支払い5原則
賃金を支払うときは以下の5つの原則が適用されます。
・通貨払いの原則(通貨で)
・直接払いの原則(直接労働者に)
・全額払いの原則(その全額を)
・毎月1回以上払いの原則(毎月一回以上)
・一定期日払いの原則(一定の期日を定めて)
これらの賃金支払いの5原則に違反した場合、30万円以下の罰金に科される恐れがあります。また、同原則に加え、割増賃金の未払いなど発覚すれば、労働基準法37条違反として処罰される恐れもあります。
【賃金支払いの5原則の例外】
・通貨払いの原則の例外
労使協定で定めがあるとき、厚生労働省令で定める確実な賃金の支払いに該当する場合は例外として認めています。
・直接払いの原則の例外
本来現金を手渡しするという考え方であるものの、口座振込などは例外として認められています。また、労働者本人が病気などにより賃金を受け取れない場合は、使者への支払いは可能です。
・全額払いの原則の例外
所得税や社会保険料を控除することは可能です。また、積立金や社宅賃料などは、労使協定を締結しているときは控除が認められます。また、全額を払うには労働時間は分単位で管理し、給与計算も分単位で行う必要があります。違反した場合には罰則もあります。 原則は分単位で計算をしますが、定時以外で働く時間の端数部分について切り捨てが容認される例外もあります。これは行政通達で事務簡便を目的に「1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」は認められてみます。
・毎月一回以上支払いの原則の例外
臨時に支給される賃金等が該当します。(退職手当やボーナス等)
・一定期日払いの原則の例外
賃金支給日が休日の場合、繰り上げてまたは繰り下げて支払うことは可能です。
賃金支払いの5原則は、労働者の生活の安定を確保するために定められています。とはいえ、賃金支払い事務を効率化したり、税法などを根拠としたりする例外規定も多いため、どこまでが認められるか事前に把握する必要があります。