特別加入制度の休業補償
中小規模の建設業の現場においては、従業員とともに事業主や役員も現場で作業をすることがかなり多いかと思います。ですが、事業主や役員、同居の家族従事者等は現場でケガをしても労働者ではないので、労災補償の対象外です。
そんな事業主や一人親方等でも「労働保険事務組合」に委託すれば、特別加入の制度を利用できるので労災補償の対象になります。簡単に区分けすると、従業員のいる事業主の場合「第1種特別加入」、従業員のいない一人親方の場合「第2種特別加入」となります。今回は詳しい制度の内容よりも、実際に事故で休業した場合の補償について、私が受けた相談内容、体験談を話します。
まずは「第2種特別加入」の一人親方が脚立から落下し右腕を骨折、全治一か月の怪我で自宅療養している場合、この場合は最初の待期期間3日以降の4日目から休業終了の日まで自分で決めた日額(5,000円や10,000円等)の8割が休業期間中支給されます。詳しい要件等はありますが、仕事中にケガして、右腕が使えず仕事ができないので休業補償がもらえます。
続いて「第1種特別加入」の中小事業主が同様のケガをして自宅療養したとしましょう。各管轄の労働基準監督署で変わるかもしれませんが、この場合休業補償は支給されない可能性が高いです。「同じケガなのになんで?」となると思います。理由としては「見積りや電話での指示はできる」つまり「事業主としての仕事ができるので、全部労働不能ではない」と言われて不支給になることがありました。これは何十人も従業員がいる会社も従業員が1人だけの会社でも基本的には同じ対応になります。
建設業の現場では特別加入してないなら、現場に入れないこともあり、わざわざ労働保険事務組合に委託して特別加入して、保険料を払って、いざ休業したら補償はおりません。正直、私自身も腑に落ちないですがこれが制度の現状です。中小規模の建設業の実態を深く理解して、柔軟な対応を求めたいです。